【寄付規制法案に対する緊急声明】

 「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の問題を発端として、政府・与野党にて、不当な寄付要求などを規制する新法(以下、「寄付規制法案」という。)の議論が進んでいます。

 まず第一に、霊感商法や特定の宗教団体の高額献金による被害を受けている方々への救済については全く異論なく、迅速な整備と対応が必要であると考えます。

 しかし、今月8日の会見で岸田総理は、「寄付一般」を対象に、悪質な勧誘行為に基づく寄付行為が、取り消しや損害賠償の対象になる可能性を示しました。つまり、問題となっている宗教法人だけではなく、NPO法人を含めた、あらゆる団体の寄付に、一律に新たな規制が課される方向で議論が進んでいます。 今回の規制の参考とされている公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律では、具体的な判断基準が明確でなく、所管官庁の裁量の幅が大きい罰則規定が設けられることになると、適正かつ重要な寄付の募集まで萎縮させることに繋がります。

 日本社会が抱える数多くの複雑な社会課題を解決するには、NPO法人をはじめとする民間プレイヤーの活躍が不可欠です。そして、多くのNPO法人の活動は、寄付によって支えられています。
NPO法人等への寄付の規制は、岸田内閣から示された「骨太の方針2022」における我が国の寄付文化の醸成から遠のくことはもとより、ソーシャルセクターの衰退を招き、社会貢献活動を阻害しかねない重大な問題です。

 今回の法案の議論の発端となっている検討会では、主に宗教法人による霊感商法についてのみしか議論されておらず、NPO法人等への寄付については、聞き取り調査も議論も行われていません。(消費者庁「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」)
 
 NPO法人新公益連盟はこの寄付規制法案に対して、本国会での拙速な法律制定に反対し、NPO法人等などの当事者を含めた、より慎重で丁寧な議論を政府・与野党に求めます。


令和4年11月13日
特定非営利活動法人 新公益連盟
代表 白井 智子